Z世代が求める部屋とは?若年層の賃貸トレンドと選ばれる物件の特徴
SNSやサブスクが日常に溶け込み、オンラインとオフラインの垣根がないZ世代。
1990年代後半から2010年ごろに生まれたこの世代は、これまでの「安くて広ければOK」という賃貸物件選びの常識とは一線を画しています。彼らが住まいに求めているものは、単なる「家」ではなく、自分のライフスタイルや価値観を映し出す「空間」。
今回は、Z世代の賃貸住宅に対する価値観や、選ばれる物件の特徴について掘り下げていきます。
「自分らしさ」を表現できる空間が人気
Z世代にとって、部屋はただ生活する場所ではありません。SNSでルームツアーを投稿したり、友人とリモート通話をつなぐ背景に映ったりと、「自分の世界観を演出するステージ」として部屋を捉える傾向があります。
そのため、個性を活かしやすい白基調のシンプルな内装や、DIY可能な物件、アクセントクロスのあるデザイン性の高い空間などが人気です。
また、ミニマルなインテリアや韓国風インテリアなど、流行を取り入れやすいレイアウトも好まれます。家具を自分で選んで“映える”空間を作れるかどうかが、物件選びのひとつの基準になっているのです。
家賃の上限より「コスパ重視」の傾向
従来の「できるだけ安い物件を探す」という考え方とは少し異なり、Z世代は「払う価値があるかどうか」という“コスパ”を重視します。
例えば、少し家賃が高くても宅配ボックスやWi-Fi完備、オートロックなど生活の質を高める設備がある物件には積極的に目を向けます。
さらに、フリーレントや敷金・礼金なしといった初期費用を抑えられる物件も人気。初期費用をおさえ、その分を家具家電の購入や引越し代に回したいという合理的な考え方が見受けられます。
「在宅時間」を意識した間取りや設備
コロナ禍を経験したZ世代にとって、部屋は“住むだけの場所”ではなく“仕事や趣味に集中する場所”でもあります。リモート授業や在宅勤務が一般化したことで、「作業スペースを確保できる間取り」が注目されています。
1Kでもベッドとデスクを分けられるレイアウトや、ワンルームでも可動式のパーテーションで空間を仕切れる工夫がある物件は高評価。また、Wi-Fi環境やコンセントの位置、照明の明るさなども細かくチェックされるポイントです。
立地は「アクセス重視」から「街の雰囲気重視」へ
以前は「駅から近ければOK」という傾向が強かった若年層ですが、Z世代は少し違います。駅近だけでなく、「カフェやスーパーが近くにあって歩いていて楽しいか」「治安が良く、街の雰囲気が自分に合っているか」といった感覚的な部分も重視します。
SNSや口コミで評判の良いエリアや、ローカル感のある下町エリアにも関心が高く、東京なら蔵前、清澄白河、下北沢など“感度の高い街”が支持されやすい傾向にあります。
選ばれる物件の具体的な特徴
では、Z世代に選ばれやすい物件にはどんな共通点があるのでしょうか?以下に主なポイントをまとめます。
✅デザイン性のある内装:白壁+木目調の床や、アクセントクロス、スポットライト照明など
✅ネット環境の整備:Wi-Fi無料、コンセントの配置が多くリモート対応しやすい
✅セキュリティ:オートロック、防犯カメラ、モニター付きインターホンなど安心感のある設備
✅暮らしやすさ:宅配ボックス、独立洗面台、室内洗濯機置場など生活導線が整っている
✅更新しやすい契約条件:初期費用が抑えられていて、フレキシブルに住み替えできる
まとめ:Z世代は「自分軸」で部屋を選ぶ時代に
Z世代の賃貸物件選びは、「広さ」や「築年数」だけでは語れません。彼らが求めているのは、“自分らしさを表現できる空間”であり、“時間を心地よく過ごせる場所”です。
部屋がそのままSNSに映る現代では、物件自体がライフスタイルの象徴となり、周囲に発信するツールにもなっています。
後、若年層向けの物件づくりや募集戦略を考える上では、「暮らしを豊かにする工夫」や「感性に寄り添った設計」がますます重要になるでしょう。
Z世代の価値観を理解し、彼らの“共感”を得られる住まいを提供できるかが、これからの賃貸市場での鍵を握っています。